HIDEBOHさんといえば、北野たけし監督の映画『座頭市』のラストのダンスシーンを監修するなど、日本を代表するタップダンサーですが、そもそもレイザーラモンのお2人とはこれまでに交流があったんですか?
【レイザーラモンRG】
はい! 昔、品川プリンスシアターという劇場があった時、HIDEBOHさんとご一緒させて頂いたのが最初の出会いですね。
【HIDEBOH】
そうそう。ダンスとお笑いの融合という形でよく一緒にやってましたよね~。
【レイザーラモンHG】
良い劇場でしたよね!!
──じゃあそこで2組が共通性を見出していたワケですね。
【HIDEBOH】
そうですね! RGさんのネタでタップを踏んだり(笑)。
──あるあるネタに!
【RG】
そうなんですよ! HIDEBOHさんって何にでも合わせられるんですよね。
──確かにHIDEBOHさんのパフォーマンスを観ると、ジャンルレスでタップを踏んでますよね。まさか“あるあるネタ”にまで合わせられるとは思いませんでしたが(笑)。
【HIDEBOH】
アハハハハ! でも、ドラムとかパーカッションの定義を踏まえていれば何にでも合わせられるんですよ。
【RG】
盛り上がってくると歌のスピードが速くなるんですけど、HIDEBOHさんのタップもどんどん加速していくんですよ。そこが凄くカッコイイ!!
【HG】
僕なんか、RGがあるあるネタをやっているときは「はよ言えや」っていつも思っているんですけど、HIDEBOHさんがタップを踏んでもらった時は「まだ言わんでええ!!」って思いましたね。
──もっとじらせと(笑)。
【RG】
なので大分、長くやらせて頂きました。(HIDEBOHが)なぜ即興が出来るのかというと基礎がガッチリ出来ているからなんでしょうねぇ。
【HG】
そらそうですよ。まぁ僕らは基礎がないですけど(笑)。
──HIDEBOHさんは6歳からダンスを始められたという事ですが、浅草の芸能一家の中で育ったそうですね?
【HIDEBOH】
はい。親父はハーモニカを吹きながら漫談もやってダンスもするという芸人でして(笑)。僕が子供の頃に(ビート)たけしさんもツービートで一緒に舞台に上がっていましたね。
【RG】
たけしさんとの繋がりは子供のころからだったんですか!
【HIDEBOH】
そうなんですよ。だから子供の頃から色々な方の芸に触れることが出来る環境でしたね。
【HG】
じゃあ、子供の頃からタップダンサーとして生きていくと考えてたんですか?
【HIDEBOH】
そうですね。タップダンスの起源がニューヨークだったので、「本場のステージを体感したい!」と思って行ったんです。
──本場を体感してみて如何でした?
【HIDEBOH】
やっぱり、自分が今まで固定観念に縛られていたということを痛感しましたね。さっきの“あるある”にタップダンスを合わせることと共通するんですけど、向こうのタップダンサーはジャンルレスで様々な音楽に合わせてタップを踏むんですよ。それが凄くカッコよくて影響されましたね。それから自分でも「歌謡曲とタップダンスを合わせられないか?」とか考え始めまして…。
──HIDEBOHさんは最初の一歩としてまずは、本場のアメリカを目指した。では、レイザーラモンのお2人は最初の一歩として、まずはどこを目指したんですか? NSCですか?
【HG】
なんか、駅前留学みたいだな~(笑)。
【RG】
僕らは2人ともプロレスが大好きだったので、大学時代ずっと学生プロレスをしていたんです。その時、日本に入って来ていないアメリカンプロレスのビデオを現地の知り合いから送ってもらってアメリカに触れていました!
【HG】
HIDEBOHさんと比べると随分安っぽいですけどね(笑)。
【HIDEBOH】
アハハハハ! でも、それが現在のレイザーラモンのルーツになっているんですよね。
【RG】
そうなんですよ! 僕らは普通の漫才は出来なかったけど、アメリカのレスラーの動きとかを取り入れたプロレスコントならイケると思ったんです。
──実際に『ハッスル』というプロレス団体でお2人ともレスラーとしてリングに上がってましたもんね!
【RG】
そうですね。『ハッスル』でアメリカのレスラーと実際に対戦する機会も多かったので感慨深かったですね。
【HG】
そうやねぇ(しみじみ)。
──僕も何回か会場で観させてもらいましたけど、HGさんは団体を背負うエースとして、RGさんも体を張ったバンプを毎回取っていて(笑)。
【HG】
中年代表みたいな体でよくやってましたよね(笑)。
【RG】
僕なんかが一流のレスラーと戦えるなんて夢みたいでしたよ。一回、RG対グレート・ムタというのもあって。
【HIDEBOH】
アハハハハ! それ凄いなぁ(笑)。
【RG】
もうね! 一挙手一投足が違うというか……歩き方から睨み方まで全てが完成されているんですよね。
──貴重な体験ですよね。アメリカのエンタテインメントという部分ではHIDEBOHさんとレイザーラモンには共通する点も多いんでしょうね。
【HIDEBOH】
そうですね。好きなアーティストや見てきたモノも共通する部分はありますよね。RGさんはアメリカンポップスを基本に“あるあるネタ”を考えるし、HGさんを最初に観たときも、ヴィレッジピープルが凄く好きだったので「カッコイイ人が出てきた!」って。僕もアメリカではHGさんみたいなカッコもしてましたよ。
【HG】
そうなんですか(笑)。僕もこのキャラで行こうと思った時はヴィレッジピープルやクイーンを参考にしてましたからね。
──アメリカって、弱肉強食で「目立った者勝ち!」っていうイメージがありますから、見た目のインパクトも大事なんでしょうね。
【HIDEBOH】
ありますねぇ(しみじみ)。ただ、アメリカで“目立つ”という部分では最初は勘違いしてました。結局彼らと同じ格好をしても目立てないんです。アメリカにいたときよく言われたのは「日本人って何なの?」ってことなんです。つまり日本ならではのファッションやスタイルを取り入れることが目立つコツだったんです。それが紆余曲折して映画『座頭市』のタップシーンに行くんでしょうね。
【HG】
お~。繋がりますね!
【RG】
つい、現地に行ったらアメリカナイズされないといけない!って考えちゃいますよね。……僕らの仲間である、なかやまきんに君も同じこと言ってました。
──アメリカに筋肉留学していた(笑)。
【RG】
自分の筋肉が本場で通用するのか?という大志を抱いて行ったんですけど、やっぱり言葉の壁がどうしてもあると。そこで、現地の人間から言われたのは「もっと、忍者、侍を出せ」と。
【HG】
一気に話がしょぼくなったぞ(笑)。ただ、僕もロケでシカゴのゲイタウンに行ったときに、ダンスクラブに潜入したんですけど、僕なんかよりも二回りくらい大きい人がこういうカッコして腰振ってるから、1人でシュンとしてましたね。
【RG】
プロレスラーにも同じことが言えますよね。グレートムタしかり、グレートカブキしかりオリエンタルなムードを出したことでトップに立てた。TAJIRIさんというWWEで活躍したレスラーも、日本人らしくペコペコお辞儀するキャラクターで人気を集めましたから。
──HIDEBOHさんもアメリカで日本の良さを考えているうちに歌謡曲とタップダンスの融合などを本格的に考え始めたんですか。
【HIDEBOH】
そうですね。タップって限られたステージでしか観れない状況があったので、普通にテレビで観れる状況にするにはどうしたらいいのか?っていうことをずっと考えてましたね。
──確かに敷居の高いイメージがありますよね。日本にもダンスブームって何回も起こりましたけど、日本でタップが脚光を浴びたのって、それこそ『座頭市』までなかったような気もしますし。
【HIDEBOH】
歴史が長い分、芸術とかアートの一環という風に括られてきたんですよね。なんか、そういう風潮を崩したいなとはずっと思ってましたね。
──タップって文字通り自分の身ひとつで表現できるという部分で考えると凄い表現方法だなって思いますよね。
【HG】
言葉とか関係なく世界中で通用するもんなぁ。
【RG】
それこそ、アフリカの民族音楽みたいにパーカッションだけでも十分踊れるんですもんね。
【HIDEBOH】
そうですね。下敷きの部分のリズムは共通してますから。
【RG】
カッコいいなぁ~。(間)寛平師匠がマラソンで世界一周してましたけど、どうですか?タップで世界一周!
【HIDEBOH】
いいですね~(笑)。
【HG】
船の上でもずっとタップ踏んでね(笑)。
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元記事 : ORICON STYLE 配信日時 : 2014-01-29