今やストリートダンス界で圧倒的な知名度と存在感を示す唯一無二のエンターテインメントジャズダンスチーム「梅棒(ウメボウ)」。
J-POP×STORY×JAZZ DANCEを融合させたスタイルを確立し、数々のコンテストで入賞を果たしてきた実力派集団が、作・演出・出演をこなす舞台公演第2弾を2014年1月23日よりスタートさせた。東京公演・大阪公演と総動員数は延べ約4,600人にのぼり先月大盛況にて幕を閉じた。
そして先日、4月に渋谷パルコ劇場で追加公演を行うことが発表され話題をよんでいる。渋谷のパルコ劇場といえば、数々の有名俳優・演出家の舞台が行われている知る人ぞ知る劇場。その舞台に、ついに梅棒率いるストリートダンス集団が立つことになった。その誰もがエンターテイメントと認めた「ウチの親父が最強」とは。舞台の内容に迫ってみようと思う。
まずはじめに言えることは、梅棒がこれまで演劇とダンスを平行し活動を行ってきたからこそ実現する舞台であることには間違いない。そしてその中で培われたものが、笑いと涙で会場中の体温をみるみる上げていくオリジナルの手法を身につけることに繋がっているといえるだろう。今回はロングラン公演にも関わらず、初日を迎える前に早々と各日チケットが完売していった。A・B・C公演とそれぞれキャストが異なり、開催地も東京・大阪と2カ所に及んだ。EBATO(電撃チョモランマ隊)、だーよし(TRIQSTAR/ex.はむつんサーブ)、IG(NEXT/No.【A】)、パイレーツオブマチョビアンなど個性派ダンサーとのコラボも話題をよんでいた。
今回はそのうちEBATO、だーよしが出演した東京Bプログラムの千秋楽について振り返ってみる。
2月2日(日)池袋芸術劇場シアターイーストにて、東京千秋楽が行われた。会場では、キャンセル分や当日券を求める観客が次々と現れるほどに期待が高まっていた。客席は通路まで埋まるほど超満員。いざ開演すると、瞬く間に最後までノンストップで梅棒ワールド一色に染まることになる。一瞬の隙も与えない、見事な構成、演出、そしてダンス。エンターテイメントとは何なのか。梅棒がこれまで貫いてきたことは何だったのか、私たちは改めて実感することになったのである。
気になる中身は「家族愛」をテーマにした本作品。
キーマンとなるのはEBATO演じるダメな父親。IMAGINE演じる母親が家族の中心となり、貧乏一家が一致団結し、家族を襲うチンピラをやっつけるという話。物語としては非常にシンプルで、どこにでもある設定だが、それにも関わらずひと味もふた味も斬新にみえたのは梅棒ならではの、ダンス・演出・構成・ユーモアといえるだろう。
つるが演じる息子の受験や思春期の葛藤、MIKAKO演じる娘の恋愛模様など、イマドキの若者事情をリアルに描いた演出と、だーよしが演じたおじいちゃんなど配役がピカイチだったことが更にこの作品の質を上げた。最大の魅力は最初から最後まで基本的にはセリフがなく、全て“J-POP”と“ダンス”で構成されているということだ。全体で約20曲登場したJ-POPの歌詞を考慮し、繋いでいく構成力は実に見事であった。1曲1曲の楽曲が次々と繫がり物語として成立させ、全体を1本の舞台に仕上げる。なかでも会場一のどよめきと笑いを得ていたのは、父親が誤って浮気をしてしまったことが母親に発覚したシーン。母親役のIMAGINEが買い物袋に入っていた長ネギを掴みポルノグラフィティの「サウダージ」を1曲まるごと本気で熱唱したのである。一見面白いはずなのに、あまりのその本気さと熱意が会場中に伝わり、胸を熱くさせていた。
また、本編には1曲だけIMAGINEが作詞した楽曲も登場するなど、その多岐に及ぶ才能を遺憾なく発揮していた。
東京千秋楽の終演後に、スペシャルトークゲストとしてGReeeeNのプロデューサーJIN氏がサプライズで登場し、さらにこの日舞台を見に来ていた人気フォークデュオゆずの北川悠仁氏が急遽舞台に登壇し会場を驚かせていた。まさに日本のJ-POPシーンを牽引する両名が口を揃えて「最高に楽しかった。最高にセンスが良いね、3回泣いたよ。」と感想を述べていたのが印象的であった。それには、いつも元気いっぱいのIMAGINEも言葉に詰まり涙をこぼしていた。両名共に、劇中で楽曲が使用されていたことにも触れ「梅棒はこれまで数々のJ-POPを使用させていただき表現してきたが、今回初めて楽曲を作ったご本人に目の前でみてもらうことができ夢が叶った。」と心底嬉しそうに語っていた。JIN氏が「この梅棒の公演はミュージカルでもなく、演劇でもなく、ダンスショーケースでもない。これはなんと呼ぶのだろう。もっと広がっていくべきだよね。」と漏らしていた。
普段、ダンスイベントで観る梅棒のショーケースはJ-POPを1曲使いし1つのストーリーが完結するが、公演では20曲近い新旧ジャンル問わないJ-POPが次々と繋がれ展開し全体で1本のストーリーを造り上げる。笑いあり、涙あり、ダンスあり。セリフがないので時に表情で語り、キレのあるダンスで魅せきる。歌詞との連動性と曲との調和が見事であり、舞台を創り上げた梅棒とそれを更に完璧なものに仕上げたキャストやスタッフたちのチームワークが最高に輝く作品となった。
梅棒結成12年。ここから益々飛躍していく彼らをいつまでも応援していきたい。改めてそう思える公演であった。
※朗報※
2014年4/12(土)・4/13(日) 東京 渋谷PARCO劇場にて追加公演決定!!
今回見逃した人、また見たい人、こちらも要チェック
http://umebou.daa.jp/uchi-oyaji/
DANCE@WEB IMAGINE公演前インタビューもチェック!
http://www.dancealive.tv/what/people/umebou-imagine-interview