XILEの妹分的グループ「E-girls」は、”アイドル戦国時代”といわれ、多人数構成の女性アイドルグループが熾烈な戦いを繰り広げる昨今において、独自の路線を突き進んで人気を伸ばしてきている。といったような紹介は、テレビ・雑誌など各メディアで頻繁に耳にするだろう。
しかし、どのような点で”独自”であり、その独自さというのはどれほど凄いものなのか? それは、彼女たちの活動を見ていれば自然と分かることではあるのだが、実際に説明するようなものはあまり見られない。そこで、彼女たちの独自さの象徴ともいえる「制服ダンス」について解説することで、E-girls自体のパフォーマンスの圧倒的な実力というものに関しても触れていきたい。
制服ダンスというのは、E-girlsがリリースするシングルに付くDVDに収録されている、曲が始まる前のダンスパフォーマンスのことだ。メンバーの一部が女子高生の制服を着て様々なシチュエーションで集団パフォーマンスを繰り広げるこの制服ダンスは、彼女たちにとって”名物”であり、特に演出面で年々そのクオリティーが上がっている。
例えば、2014年2月に発売されたシングル『Diamond Only』に収録された制服ダンスは、駅のホームをまるまる使用して撮影されており、メンバーたちが電車を降りるところから始まるその演出は、昨今隆盛の”フラッシュモブ”を意識しているように見える。ソロダンスを終えたメンバーが停まっている車内や階段に移動するとそこに他のメンバーが待ち構えており、そこから集団パフォーマンスに切り替わるという流れも、フラッシュモブ的だ。
【制服ダンス ~Diamond Only~】
そして、この”流れ”という観点でみた際に圧巻なのは、2013年11月に発売されたシングル『クルクル』に収録された制服ダンス。始まってちょうど1分を過ぎたタイミングで、メンバーのSAYAKAによるソロパートがスタートするのだが、そこからおよそ1分間のソロ(もしくは2人組)ダンスの繋ぎは、ワンカット長回しで撮られているのである。
ひとりのソロが終わるタイミングで画面の端に何気なく次の担当メンバーが現れたり、前のパートを担当したメンバーが他のメンバーが踊っている間に移動して別の場所で踊っていたりと、その構成は考え尽くされており、また長回しならではの「絶対に失敗できない」というメンバーの緊張感も相当なものだろう。
【制服ダンス ~クルクル~】
このような構成が可能になるのは、アドリブ能力も含めて彼女たちひとりひとりのダンスの実力がプロダンサー並であることが前提にあると思われ、他の女性グループには間違いなくマネできない芸当だ。この、アーティスト(パフォーマー)としての実力はプロ級でありながら、主にテレビでの活動は限りなく”アイドル的”に行っているという点こそが、E-girlsの独自性であり強みでもある。
そしてこの制服ダンスに関しては、”ストーリー性”という点でも興味深い。女子高生の制服を着たメンバーたちが集団で様々なシチュエーションで踊るという設定は、アイドルファンであれば多くの人が、AKB48の『涙サプライズ!』(2009年6月発売)のミュージックビデオを思い浮かべるだろう。
この、簡単に思い浮かべられる”ネタ元”であえて勝負を挑み、売りであるダンスの実力で本流のアイドルファン層にE-girlsという存在を認識させる姿勢、そしてこのストーリーからは、演出陣の強い自信がうかがえる。
YouTubeのavex公式チャンネルで公開されている『クルクル』、『Diamond Only』の制服ダンス動画の再生回数は、それぞれ約136万回と約55万回(2014年4月23日時点)。コメント欄には、海外のユーザーによる絶賛コメントも多数見られることから、彼女たちの実力は海を越えて認知されてきているようだ。
シングルCDを購入せずとも、iTunesで配信されるミュージックビデオなどでも見ることができるこの制服ダンス。彼女たちについて未知な人は、まずはそこから入ってみてはいかがだろうか。
元記事 : アメーバニュース 配信日時 : 2014-04-23 17:00