新曲のリリースにともない、「ダンスコンテスト」を開催するミュージシャンが目立っている。
剛力彩芽はニューシングル『あなたの100の嫌いなところ』が2月26日にリリースされることを記念し、特設ページにて「“ガオガオ”ダンス!コンテスト」を開催。振付師のWARNERとともに創作したという「ガオガオダンス」は、ヒップホップを軸にしながらも、ガーリーな仕草が散りばめられた振り付けが特徴的で、上手く踊るには機敏さと愛嬌が求められそうだ。
JUJUもまた、両A面シングル『Door/Hot Stuff』が2月19日にリリースされたのをきっかけに「Hot Stuff ダンスコンテスト」の開催を発表。オフィシャルサイトにて、二人組以上で「Hot Stuff DANCE ver」をコピーして踊る動画、もしくは完全オリジナルダンス動画を募っている。セクシーかつクールな楽曲だけに、踊り手にはある種の色気も必要かもしれない。
異色の試みとしては、今年で結成25周年を迎える実力派ロックバンド・the pillowsが、楽曲のカバー映像とともに、「Fuuny Bunny」にあわせて踊る映像を募集している。YouTubeでは、エアギターの動作が印象的な模範振り付け映像も公開中である。
このように「ダンスコンテスト」を行うミュージシャンが増加している背景には、メディア環境の変化が大きいだろう。かつて新曲のプロモーションは、テレビやラジオ、あるいは雑誌といったメディアを介して一方向的に行われることが普通だった。しかし、YouTubeやニコニコ動画といったネットメディアの興隆にともない、個人が自由に情報を発信できるようになると、ユーザーはただ視聴するのではなく、自主的に「参加できる」コンテンツを求めるようになってきた。そうしたニーズに応える手法のひとつが「ダンスコンテスト」だ。ダンスは多くのひとが気軽に参加できるうえ、その動画映像はSNSなどでのバイラル効果も強く、ネットとの親和性も高い。加えて、ダンスを覚えるためにユーザーがCDを購入する可能性も高まる。
2013年に大ヒットしたAKB48の『恋するフォーチュンクッキー』は、そうしたプロモーションの最も成功した事例のひとつ。覚えやすい振り付けが多くの人々に好まれ、企業や自治体までが、同作のダンス動画をYouTubeに公開したのは記憶に新しいところだ。CDもロングヒットしており、累計売上は150万枚を超えたという。多くの人のあいだで同曲を踊ることが、かつてのカラオケのようにコミュニケーションのキッカケとして機能しているのは間違いない。
アイドルやダンスユニットだけではなく、シンガーソングライターやバンドにも広がる、この「ダンスコンテスト」というプロモーション手法。こうした流れがさらに一般的になると、90年代に「カラオケで楽しめる曲」が求められたように、「ダンスで楽しめる曲」のニーズが高まり、JPOPの音楽的傾向に変化が生まれる可能性もありそうだ。
元記事 : Real Sound 配信日時 : 2014-02-21