米シカゴで発展した「ジューク/フットワーク」と呼ばれる高速、変則ビートのダンス音楽の旗手として知られるDJラシャド=写真・Masanori Naruse=が来日した。
昨年リリースしたアルバム「ダブル・カップ」(ビート)は、世界中で高い評価を得た。ハウスやヒップホップを下敷きにしながら、官能的なメロディーや洗練されたアレンジも楽しめる作品に仕上げた。
「普段は過激でエネルギッシュな音楽をやっているんだけど、今回は全体的にメロウで心地のよいものにしようと思った。自分たちもあらゆるジャンルを取り入れ、こういうことも出来るんだと示したかった。好評でうれしいね」
美しいフレーズが反復され、その合間に様々な音がせめぎ合う「フィーリン」は酩酊めいていしているかのような錯覚に陥る。表題曲はリズムの速度を変えながら展開し、途中から分厚いサウンドに身を包まれている気分になる。工夫を凝らした佳作が並ぶ。
シカゴはダンス音楽が盛んで、ラシャドもゲットーハウスと呼ばれる音楽の影響を強く受けて成長した。「デトロイトのテクノに似ている部分もあるけれど、シカゴの方がよりわい雑な感じだった」。
地元で活躍するDJミルトンやDJディーオンにあこがれ、1990年代中頃、ドラムマシンなどの機材を手に入れ、音楽を作り始めた。やがてダンス音楽のファンらの注目を集めるようになった。「もちろん踊らない人にも聴いてほしいけど、自分もダンスをやっていたし、音楽とダンスは切り離せない」。自身の原点を忘れない。
元記事 : 読売新聞 配信日時 : 2014年3月13日