2008年にリリースした『Diary Of An Afro Warrior』や、スクリーム(Skream)らとのユニット=マグネティック・マン(Magnetic Man)などの活動で、クラブ・シーンにダブステップを確立させたパイオニア的DJ/プロデューサーのベンガ(Benga)が、交際女性との婚約発表と同時に引退を宣言した。
ベンガは2月2日、Facebookに交際しているライターでスタイリストのホリー・ジェイ・トレードゴールド(Holly-Jae Treadgold)との婚約を発表。それに続けて、「俺のDJキャリアはこれで終わり。俺は家庭を作りたいんだ。本当のサポーターたちに感謝を。すばらしい時間だったよ」と引退を表明した。これに対し、共にシーンを牽引してきたスクリームはTwitterで、「俺のブラザー、ベンガに敬礼……。こういうことを発表するには色々ある。だが彼は、ずっと俺にとって純粋にインスピレーションの源、それ以外の何者でもなかったよ」と名残惜しさを感じさせるコメントを綴っている。トップDJの突然の引退宣言に、「ハッキングされたのか?」など戸惑うファンの声も多い。今後、一切の音楽活動から離れることを意味しているのか、あくまでDJとしての活動を止めるだけなのかははっきりしないが、イギリスの新進ラッパー、ブリザード(Blizzard)も「ベンガが音楽から引退してしまった」とツイートするなど完全な引退との見方が強い。
ベンガは、2000年初頭からロンドンで盛り上がりを見せた、強圧的なベースラインやサブベース(超低音)と渦巻くようなドラム・パターンなどが特徴的なエレクトロ・ミュージック=ダブステップのパイオニアとして知られるDJ/プロデューサー。2008年にはDMZのコーキ(Coki)と共作した “Night” がジャイルス・ピーターソン(Giles Peterson)の〈All Winners 2008〉で年間ベスト・トラックに輝くなど話題を呼び、ジャズやファンク、テクノのエッセンスも織り込まれた“黒いダブステップ”なセカンド・アルバム『Diary Of An Afro Warrior』は高い評価を得ている。ここ数年はポップ・シンガーなども取り入れるなどダブステップは大いに隆盛したが、一方でベンガは、スクリームらと同様にダブステップからの脱却を図り、2012年には「ダブステップは俺たちの世代の音楽だったが、いまはもう変わってしまった。これ以上ダブステップにはかかわりたくない」とまで発言。昨年リリースの最新作『Chapter II』でもダブステップに囚われないサウンドを展開していた。
元記事 : bmr 配信日時 : 2014-02-03 23:47