ここ5年間で日本の若手LOCKERのなかで際立った活躍を見せていたHICKY。ダンスバトル「Juste Debout」で優勝を果たし、名実と共にワールドクラスのダンサーとして名を連ねた後、2011年より単身オーストラリアへ活動拠点を移しストリートダンスをしながらダンスを通じてNPO活動をするなど幅広い活動を見せている。日本を離れたいまだからこそ見える日本と自分。日本のストリートダンスシーンのから一歩離れ、今後にストリートダンサーとしてどうありたいかをインタビューした。
- STAFF
- 日本ではSHUFFLE!!のメンバーの一人としてディライトや、バトルでも2009年にJuste Deboutで優勝して、日本のストリートダンス界の第一人者として活躍をしていたよね。そのまま日本にいて、他のダンサーと同じように日本を拠点にして活躍をするかと思ったんだけど、オーストラリアに突然旅立ったよね?もうどれくらい経つのかな?
- HICKY
- オーストラリアに旅立ち早2年が経ちました。現地では専門学校でスポーツマッサージについて学びながら、ダンススタジオで指導をしたり、日本のダンスシーンでは味わえないストリートパフォーマンスを行なうなど、刺激的な毎日を送っていますね。
- STAFF
- そうかー早いもんだね。ちゃんと生活できてる?
- STAFF
- なんとかやってます(笑) 専門学校で勉強する以外に、Indigenous HipHop ProductionsというNPO法人に所属してダンスを通じたボランティア活動をしたりしています。とりわけ、自分のダンス人生において衝撃的な出会いとなったのは、オーストラリアの先住民族であるアボリジナルなどとの出会いですね。
- STAFF
- 具体的にはどういうことかな?
- HICKY
- 出会いというか、自分があっちで率先して行ってるのだけど、経済的に恵まれない地域に住む子供たちにダンスを教える活動です。
- STAFF
- 不勉強で申し訳ないのだけど、オーストラリアってすごく豊かというか、生活しやすいイメージがあるのだけどそういうわけではないんだね?
- HICKY
- そうですね。たしかに言われているよう、過ごしやすいですし、豊と言えば豊かです。でも、逆にオーストラリアの知らざれる部分というか、差別というか、特にアボリジナル(原住民)にはそういう貧しい家庭や集落は多いですね。日本でも表面的なことは知られていますが、多くは余り知られていないと思います。そういうアボリジナルでは靴や服、さらには家にシャワーもない村もあって、そういうところの学校に行って、ダンスを教え、その楽しさを伝える活動をしてきました。
これまで自分はただ単に「ダンスを上手くなりたい」という思いでしかなかった自分のダンスへの考え方を一変させてくれましたね。それくらい衝撃的でした。
- STAFF
- 確かにそれは日本でダンスをするとかとはまた違うかもね。
- HICKY
- はい。でも、自分が与えるというよりも、逆に自分に、また改めてダンスの持つ力を実感させてくれました。
- STAFF
- 逆に自分がインスパイアされたという訳だね?でもどうして?
- HICKY
- ダンスを一時だけ教えるということは、それで今後の子供の生活が変わるわけでもなく、あくまでも一時的なものということはわかっているのですが、自分にとっては、子供たちが笑顔でダンスを踊ってくれている時が一番幸せな時間だなって感じれたんです。本当にダンスで人助けをしていることを実感しました。
もちろん、日本で自分が生徒を持って教えたことはかけがえの無い自分の財産なんですが、ここでダンスを教えるということは、日本で習い事として整った環境で教えることとは全く違います。
「あ、これは自分にとって、学べるチャンスだ!」って逆に思ってしまったんです。教える立場なんですがね(笑)だから絶対に可能な限り色々な地域・子供達に触れてコミュニケーションを取ろうと思いました。ある意味、オーストラリアでしか出来ない体験です。
- STAFF
- 日本では考えられない出来事だね。何か現地で面白いエピソードはあるのかな?
- HICKY
- 現地の子供たちにとっては日本人は珍しいみたいですね。ある意味人気者です。「空手やれ!空手やれ!」ってよく言われます。
- STAFF
- へぇ、空手は実際出来るの(笑)?
- HICKY
- 習ったことありませんがとりあえずやってますよ(笑)
- STAFF
- じゃあ今度日本に戻るときは、案外、空手も強くなってるかもね?
- HICKY
- いやいや(笑)
- STAFF
- いま日本に帰国しているけど、またオーストラリアに戻るのかな?
- HICKY
- はい、4月中旬にはまたオーストラリアに戻ります。スポーツマッサージの勉強に励み、1年半後には日本に戻ります。自分もダンサーとして体をすごく酷使してきましたが、ダンサーにしかわからない体の悩みなどを解決できるスポーツマッサージ師として、ダンス人口が増えつつある日本で未来のダンサーの子たちに手助けできるようにこのスキルも身につけて活かせればと思います。
また、現地でのボランティアも続けます。
- STAFF
- ぜひ日本に帰国したらスポーツマッサージのスキルを存分に発揮してくださいね。あと、現地の話も是非。
- HICKY
- もちろんです!自分がボランティアを通じて、オーストラリアで思いもかけず体験できたことは、日本のダンサーだけでなく色々な人に伝えたいです。
- STAFF
- 今日はありがとうございました。
DANCER’S DICTIONARY
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