EVENT REPORT

MORTAL COMBAT THE LIVE ZERO Review

日本を代表するブレイクダンスチーム“MORTAL COMBAT”が、結成10年目の節目に新たなステージの扉を開けた。
今年4月「MORTAL COMBAT THE LIVE ZERO」と銘打った単独公演を開催。大反響の内に幕を閉じた公演は、来場した者、出来なかった者の後押しにより第二弾の幕を開く運びとなった。
迎えた9月。今回の公演舞台は、大阪と東京。大阪を拠点とする“MORTAL COMBAT”が東京に乗り込む事は大きな話題となっていた。
そして来る11月24日、東京公演がついに開催。関東在住のB-BOY、B-GIRLをはじめとする多くのダンスファンが、大きな期待を胸にこの日を待ち望んでいたに違いない。
会場は天王洲銀河劇場。格式高い劇場内のロビーでは、公演オリジナルTシャツやこの日限定でメンバーが考案したオリジナルカクテルなどが販売され、開演を待ちきれないファンが賑わいをみせたまま本編が幕を開ける。
全体を通じ、ファンタジー性のあるストーリー展開で進行された本公演。2部構成で展開された舞台では、YA-SUが演じるコミカルなキャラクター“ヤーホー”が道先案内人となり“MORTAL COMBAT”が新たに表現したい世界へのレールを敷いていった。
JUJUの作成した見応えのあるCG映像がオープニングを飾ると、トランスフォーマーにインスパイアされたスタイリッシュなナンバーでのブレイキンに、観客の心を一瞬にして鷲づかみにしていった。
YA-SUこと“ヤーホー”が手に持つのは『キューブ』と呼ばれる六面体の箱。その扉を開くと、多種多様な部屋に通されるという設定で描かれた今回の舞台。まるで万華鏡の中に入り込んだような錯覚に陥り、“静と動”、“明と暗”など個性溢れる世界観に相対した演舞が次々と披露された。
笑いも交えたステージングの中で、一際目を惹いたのがMIKIJUJUが中心となりエアリアルティシューの2人と共に魅せてくれた神秘的な作品。アート×ブレイキンという“MORTAL COMBAT”の新たな道筋が見えた芸術性の高い作品に感じられた。
それに負けじと会場を笑いの渦に巻き込んだのが『よしこの部屋』。メンバーYOSHITO演じる黒柳よし子(黒柳徹子さんを模したキャラクター)が軽快なMCで観客を巻き込み笑わせると、一気に会場は和んだ雰囲気となっていた。

2部では、YOSSHIJUJUなどの音ハメが際立つソロや5対5のブレイキンバトルなど遊び心満載のショーが際立っていた。ラストに向かっていくに連れ、メンバーのボルテージも最高潮に達し、10年目の集大成とも言うべく“MORTAL COMBAT”から発生せられる“エナジー”が会場を埋め尽くす観客の更なる鼓動を呼び起こさせていった。
スクリーンに映し出された「生き方すべてがブレイクダンス」というメッセージのもとYOSHITOが目に涙を溜めると、ここから一気にメンバー全員がありったけの想いと力で身体から溢れるばかりに自分達のブレイキンを示し続け、最後はJAPAN DANCE DELIGHTで栄冠を勝ち取った演目を織り交ぜながら力の限りを尽くし、盛大な拍手と共に幕を閉じた。

結成10周年の成熟したチームだからこその息のあったルーティーン。世界でもトップクラスの猛者達が魅せるスキルは圧巻の一言だった。
『ブレイクダンスでの舞台公演』という新たな可能性にチャレンジしたことは次世代の多くのダンサーに刺激を与えたことだろう。そしてまた彼らもまだまだ成長過程といわんばかりに、これからも様々なことに挑戦する姿を私たちに提示し続けてくれるのだろう。
来月12月14日には大阪でMORTAL COMBAT結成10周年記念イベントが開催されるので、モーコンファンはもちろんのこと全国のダンスファンにもぜひ楽しんでもらいたい。

MORTAL COMBAT オフィシャルWEBサイト