ストリートダンサー個人へスポンサードについて

昨年から動いていたプロジェクトなんですが、ようやくムラサキスポーツとストリートダンサーの個人スポンサード契約が成立しました。
ウェブサイトやSNSでの反応も上々で嬉しい限りです。

http://www.dancealive.tv/what/project/murasaki_sports

思えば2008年と2009年のメインスポンサーであったNIKEが100万円分の物品提供という大型個人スポンサー契約を優勝者に提供して以来の出来事なのですが、今回のムラサキとの契約ではまず何が違うと言うと、前回がアライブでの優勝の副賞としての扱いであったのに対して、今回は優勝の副賞ではなく、企業がトータルでの実績を検討してダンサーにオファーし、そしてオファーを受けたダンサー本人にも受けるか受けないかの選択権があるという事です。
そして最大の違いは言うまでもなく報酬が現金である事です。
詳しい内容については言及は避けますが、何か著名な大会で優勝をしたらインセンティブが支払われるということでしょうか。これは画期的なシステムだと思います。

こうした流れは止めたくないので、出来る限りカッコいいダンサーには私たちも率先して企業の個人スポンサーを見つけようと思います。

なぜ個人スポンサーにこだわるかと言うと、まずは現時点でのダンサーの個人の「プロ意識」の芽生えと、そのプロ意識はここ数年で完成されているダンサーが生まれてきた、という実感と、そして盛り上がってきたストリートダンス市場を(1)プロ意識がありながら、(2)遊びであり、(3)その中に魅力あるカッコよさがある…というマーケットに私たち自身が向かわせたいからです。

個人スポンサーが付く事というのは、ダンサーが「スポンサー」の看板を背負うことになり、行動と結果に責任を帯びるという事ですが、これは間違いなくプレッシャーにはなります。ですがやはりダンスアライブの本戦を見てみても、ダンサーが真剣であるからこそカッコいいんですね。少なくともここで活躍を出来る人は本当の意味でプロになる資質はあると思っています。
そしてそれを目指す人たちに「あ、こういう風に上手くなれば社会に認めてもらえるんだ!」という前例を見せる事が出来て、そうした多くの後続のダンサー達が同じような「プロ」を目指してくれれば、自ずとシーンは良い環境になるという事です。是非このまま良い方向に向かって欲しいなと思います。

僕自身の発想の原点は、会社のメンバーであり、カリスマカンタローをはじめとするXyonのメンバーが2004年当時、ダンスディライトを目指して夜に寝ずに練習を重ねてるのを見続けた事が大事なきっかけだったと思います。よっぽど他のプロアスリートより身体を痛めつけてストイックに練習しているなと感じましたし、なによりもダンスディライトに勝つという気持ちが本当にびっくりするくらい純粋でした。彼らも大人ではあったのですが、ひたすら純粋に打ち込むと言う姿勢が体育会の大学生か、高校生か、はたまたもっと下の学生くらいに純粋というか。少なくとも当時の私が持っていたダンサーのイメージは思っていたものとずいぶん違うなーと客観的に感じながらも、しっかり決勝は応援に行っていました。
その後会社としてダンスアライブを始めた当初から、迷いも無く出場する人を見ては「本質は違うのかもしれないけど、アスリートだ!」などと思っていました。「ダンスはスポーツでも、闘いでもない!」なんて批判も多少は受けながらも目の前にある「ダンスバトル」は本当にドラマチックな闘いであり、何か他人を魅了する「良いもの」とは思っていました。なので、完全に裏方である私たちはここに出てる人には何か報いたいなとも思っていました。ただ、弊社の社是でもある「職業=ストリートダンサー」として成り立つにはまだまだ観客も支持者も少なかったんですね。

しかしここ数年、ダンスが教育になるという事象を中心に取り巻く環境が大きく変わろうとしています。実際は教育になろうがなかろうが変わらずプレイヤーとしてダンサーが中心にいて、ただ環境だけが大きく変わろうとしている事象でもあります。

市場が広がる事は素晴らしい事だと思います。ですが同時にこれはダンサーが良くも悪くも、消費される対象になる事の予兆でもあると考えています。そういう流れが本格的に起きる前に自立出来る「プロ」という形のひな形の一つを作り出せた事は非常に意義のある事だと思います。しかも今回の対象は全員10代前半から20代までの若い世代なのですから…。

先ほども述べましたがこういうプロ契約はアノマリーでもどんどん増やして行こうと思います。最低限、プロと呼べる資質があるかだけ厳しく見ます。

カリスマカンタローを始めとするアノマリーの目標は「職業=ストリートダンサー」を成立させる事です。

どうかみなさん、なにも恐れずどんどんストリートダンスを純粋に楽しんで、時には頑張って何かを目指してください。