ヒップホップ史にその個性と実力で名を刻むベテラン・ラップ集団、ウータン・クラン(Wu-Tang Clan)のファミリーとして知られるヒップホップ・グループ、ブラック・ナイツ(Black Knights)が、元レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)のギタリストとして知られるジョン・フルシアンテ(John Frusciante)全面プロデュースによる新作『The Medieval Chamber』を来年1月にリリースする。
西海岸のデュオ、ノース・スター(The North Star)との交流から、ウータン一派の面々が揃った1998年リリースのコンピレーション『The Swarm』にブラック・ナイツ・オブ・ザ・ノース・スター(Black Knights of the North Star)として共に参加していたブラック・ナイツは、1995年に結成されたグループ。デビュー・アルバム『Every Night Is A Black Knight』は元々2001年にリリース予定だったが一時お蔵入りとなり、ブラック・ナイツがライブ会場などで手売りするなど自主販売し、その後ウータン直系のChamber Muzikでの販売を経て、2007年に大手サイトなどで一般流通されるようになった。そうした経緯もあって、元々は4人組だったが、途中でホロコースト(Holocaust, 現ウォークラウド Warcloud)が脱退、また2007年にはドック・ドゥーム(Doc Doom)がコンプトンで射殺され、現在はクライシス・ザ・シャープシューター(Crisis Tha Sharpshooter)とラギッド・モンク(The Rugged Monk)のデュオとなっている。
2010年には新曲も加えた未発表曲集『The Stolen Legacy Vol. 1』をリリースしていたブラック・ナイツだが、元レッド・ホット・チリ・ペッパーズのジョン・フルシアンテをプロデューサーに迎えたコラボ・アルバム『The Medieval Chamber』で本格的に再始動。フルシアンテが所属するLAのインディ・レーベル、Record Collectionからのリリースとなるこの新作は、当初は12月リリース予定だったが、現在は1月の発売を予定。彼らとジョン・フルシアンテは、ウータンの総帥RZAを通して知り合ったのだとか。このコラボについてジョン・フルシアンテは以前に、「コラボレーションはとてもうまくいったよ。誰も何をすべきとか言わないし、制限したり、モメたりしない音楽的な関係だ。俺の仕事は音楽を作ること、彼らの仕事はラップをすること。そしてお互いにお互いのことは邪魔しない、そういう関係だ。彼らのラップが好きなんだ。俺が愛するオールドスクールなラップと同じくらいにね。この作品は俺が聞きたい音楽。ヒップホップのルールは俺を楽しませてくれるし、完全な自由を与えてくれる。ロック同様に、ヒップホップはどんなスタイルも取り込むことができるんだ。いや、今はヒップホップのほうがロックよりももっとうまく取り込むことができるものだと思っている。どんな音楽でも自由に作れるけど、俺の最大の関心は、ポリリズムとグルーヴ、そしてサウンドにあるんだ。それが、俺がロック・バンドを辞めた理由でもある。ロック・バンドにいると、ピッチやリズムを合わせなくてはいけないからね。でもテクノロジーがあれば、自分が作りたい、まさにそのビートを作れるし、グルーヴも、スロウダウンさせるのも、スピードアップさせるのも、すべて自分の思うままだ。俺の頭の中で鳴っている音をそのままスピーカーから出すことができるんだよ。だからヒップホップを作ることは、これまでの人生で最高に音楽的なコラボレーションとなった。一番純粋なコラボにね」と語っており、1年近くかけて制作されたというこの『The Medieval Chamber』は、渾身のヒップホップ・アルバムに仕上がっているようだ。
ブラック・ナイツとジョン・フルシアンテのコラボとなる『The MedievalChamber』は1月14日発売予定。日本盤は先行で1月8日発売となり、ボーナストラックを収録、Blu-spec CD2仕様になるほか、彼らのロング・インタビューも封入予定とのこと。現在、リード・シングル“The Joust”のBサイドとなる“Never Let Go”が無料公開されている。
元記事 : bmr 配信日時 : 2013-11-29 20:49